2021年

12月

28日

ドクターゆきこの温泉講話 10 「ストレスと温泉入浴」

ドクターゆきこの温泉講話 10

 

「ストレスと温泉入浴」

 

ストレスは、様々な外的刺激に対して、心身の歪み疾患として現れる症状です。

具体的には、頭痛・疲労感・不眠や過激な消化器系への影響などが多く見られます。

ストレスは、脳下垂体が受容体となり、これが副腎皮質ホルモン(ストレスホルモン)の分泌を促し、体ストレス反応として、このようなストレス性症候群を発症します。

 

一般に、原因の特定が難しく、したがって温泉入浴による全身的治癒作用が効果を発揮します。

その入浴作用には、温泉水含有化学成分や還元電位などの直接的な「物理化学作用」があります。

温泉療法では、ただ温泉地で入浴するだけで、温泉水からの刺激に対する生体反応を通して、代謝機能が賦活(活力を与えること)し、自律神経が調整され、ストレスから開放されるものです。

 

このように温泉は、日常的なストレスの歪みから私達を開放してくれる「自然の大きな恵み」なのです。

 

(監修:温泉療法専門医 那須野友規子)

 

 

このシリーズは、かつてゆきこ先生が山水園のために書き下ろしてくださったもので、あと1回分あります。先生は、あまり多くおられない「温泉療法専門医」のお一人でした。

専門家ならではの詳しい解説が読み応えがあり、漠然と「温泉は体にいい、ココロにもいい」と思っていたことが解明されたり、効果的な入り方を教えられたりと役に立っています。

よかったら1からご覧ください。

2019年

10月

26日

ドクターゆきこの温泉講話9

温泉通信 第9回

「海水と温泉水」

 

季節は外れてしまいますが、あまり知られていない話かと思います。海水と温泉水の共通点と異なる点についてのお話です。

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海水と温泉水は「地殻から湧出した液体」という点で、含有成分を共有していますが、次のような違いもあります。

 

【塩化マグネシウム(Mgイオン)濃度】

温泉水のその濃度は、海水の100分の1ほどです。地下で双方の成分が同程度であっても、温泉水は雨水の侵入を受けた土壌から湧出するので、薄められていると考えられます。

 

【酸化還元電位】

かけ流し温泉「山水園」の湯では-251mVという良好な還元性(簡単に言うと新鮮さ)を保持していますが、海水では深海でも-30から-40mV、界面付近では-10から20mVと、酸化が進んでいます(オホーツク海での計測による)。これは、湯船で長時間空気に触れて老化した温泉水に似ています。

 

つまり海水は「老化した冷泉」と言えます。しかし海水浴の効果は、何よりも広い海に向かって心身ともに開放的な気分になれることでしょう。紫外線に注意し、温泉ともども上手に活用したいものです。

 

(監修:温泉療法専門医 那須野友規子)

2019年

9月

28日

ドクターゆきこの温泉講話8

アップ時期は記事と異なりますが、ゆきこ先生にいただいた原稿がありますので、こちらに掲載しておきます。

 

ドクターゆきこの温泉講話 8

【梅雨期を乗りきる温泉入浴】

 

梅雨期は、米作や夏の給水のための恵みの雨をもたらす反面、食あたりや皮膚疾患の季節でもあります。

食あたりの直接的な治療は投薬によりますが、根本的な体力をつけ、食あたりしにくいからだを作るためには、温泉入浴による全身療法がお薦めです。

 

湯温30度以下の低温浴や冷浴では、胃酸分泌が促進され、40度以上の温浴や42度以上の高温浴では、逆に抑制されます。急性消化器疾患では入浴は禁忌ですが、慢性消化器疾患でしたら、山水園など単純泉への入浴が効果的です。

 

また、水虫なども再発しやすい季節です。このような皮膚疾患では、温泉による患部の洗浄と還元電位による皮膚殺菌作用が有効です。

 

この時期、高温多湿で過ごしづらく、気持ちもふさぎがちですが、温泉入浴は気分転換や全身のストレス解消に大きく貢献します。

適度の入浴と、温泉に行くという「転地」によって、からだも心も梅雨期を元気に乗りきりたいですね。

2018年

10月

17日

ドクターゆきこの温泉講話7

ドクターゆきこの温泉のおはなし7
【温泉水の老化現象】

温泉水も「老化」するんですよ。だからかけ流しが良いのです。このことについて科学的に詳しくどうぞ。

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温泉は古くから、湧出直後の「かけ流し湯」の方が、時間が経過して老化した温泉より高い治療効果があることが、経験的によく知られています。
「泉質の老化」とは、湧出直後の泉質が、地上の大気環境に触れ、時間が経過すると、主として「酸化」の化学反応を受け、湧出直後に持っていた「還元能力」を失っていく過程を指しています。

この現象の追跡には、水の電位を基点として、まず湧出直後の泉質との間、さらに時間経過した泉質との間に、どの程度の電位の開きがあるのかを計測することで、その時点の泉質の老化がわかります。

湧出直後の温泉水は、一般的に含有成分に還元型(相手を還元し自分が酸化される)を含んだ還元系で、その後時間の経過につれて自らの泉質は酸化され還元能力が落ちて老化が進みます。

たとえば蔵王酸性温泉水の泉質老化計測では、湧出直後の電位差が-0.16V、それが時間経過につれて酸化が進み、電位差-0.10Vまで上昇し、泉質が劣化していることがわかります。

山水園のアルカリ性「翠山の湯」では、湧出直後の電位差が-0.251Vと還元能力に優れています。温泉水の生理的治療作用は、多くのイオン含有成分に負うところが大きいのですが、時間経過に伴って泉質が酸化すると、この効用も失われます。

この観点からも、湧出直後の「かけ流し湯」が温泉効果が高いと考えられるのです。温泉は相手(入浴者)を還元作用で癒やしてあげて、自分は酸化される。そうやって人を助けてくれるのです。

(文:温泉療法専門医・リウマチ科医師・アレルギー科医師 那須野友規子先生 肩書は執筆当時)

 

追記。

文中に出てくる数字、これが低いほど還元能力が高いのです。

この文中には、山水園の翠山の湯のそれは-0.251Vとありますが、山口大学農学部獣医学科の木村先生が実験のために計測された際、当方のお湯の電位差は-0.295Vとか、時に-0.3Vなどの記録があります。

山水園のお湯は湧出時70度あるのですが、この計測器は湯温が50度に下がるまで使えないため、冷めるのを待って測っています。その間にもお湯は老化しますから、実際には-0.3Vよりさらに高い還元能力を持つお湯だということです。

2016年

1月

18日

ドクターゆきこの温泉豆講話6

<風邪と温泉入浴>

 

 

「風邪を引くと入浴しない」という方がありますが、上手な入浴は風邪撃退に効果的です。

ただ、風邪の強さと迎え撃つ体力には個人差がありますので、誰にも同じ効果というわけではありません。

 

●引き始め

まだ体力が勝っているので、入浴は多分に効果的。少し熱めの湯で全身を十分に温めると、血液循環が促進されて免疫機能が高揚する生理的効果と、血圧降下により緊張が解けて、風邪の進行を阻止するという心理的効果があります。

 

●峠のころ

無理に入浴する必要はありませんが、身体が発熱しているので、ぬるめの湯に入って体温調節を促したり、逆に高温のサウナで多量の発汗を促して新陳代謝を高め、汗の蒸発によって体温を下げる方法もあります。海外でもよく行われる方法です。ご自分の身体と相談して行なってください。

 

●治りかけの頃

普通に入浴できますが、風呂上がりの保温に留意します。湯冷めは禁物です。

 

【いずれの場合も大切なこと】

・脱衣場を暖かくすること

・水分補給を十分に

・悪寒を伴う症状の時や、消化器症状がある時は入浴しない

2015年

7月

25日

ドクターゆきこの温泉豆講話5

森林浴と温泉浴


温泉を健康と療養に利用する医学会に「日本温泉気候物理医学会」があります。80年近い歴史があり、日本人と温泉の深い関わりを感じます。


「温泉療養」は、温泉地でおこなわれる温泉浴や、飲泉等からなる複合療法で、温泉・気候(環境)・食事・物理療法が複合されておこなわれます。


環境要因として「森林浴」があります。樹木からテルペン物質が出ていますが、これには抗菌作用があり、昔から食物の調味料や香水などに利用されています。


山口は、周りを森林に囲まれた良い環境に恵まれている上に、温泉もあります。温泉浴をしながら露天風呂でテルペ物質を含んだ大気浴などができ、健康維持に最適と考えられます。


山水園は、多種類の樹木や竹林があり、森林浴と温泉浴が同時にできる場所です。

2015年

5月

01日

ドクターゆきこの温泉豆講話4

温泉の上手な入り方


温泉は、疲れた身体や心を癒してくれますが、入り方を間違えると、身体の調子を崩すことがあります。入り方を知って利用しましょう。


1.かけ湯で身体を慣らすことで、血圧の急上昇を防ぎます。


2.入浴前後、コップ1杯の水を飲んでください。血液の粘度を下げます。


3.高温の温泉に、長時間何度も入ると、のぼせが出てめまい等を起こしますので注意してください。

激しい運動直後の入浴は、循環不全を起こして気分が悪くなることがあります。

入浴は疲労回復に効果的ですが、疲労しきっている時には、脳貧血を起こすことがあります。1時間ほど休息し、体調を整えてから入浴するように心がけましょう。


4.食事の前後30分(空腹時、満腹時)は入浴を避けます。

また飲酒後は入ってはいけません。ある程度酔いが醒めてから入浴します。

心筋梗塞、脳出血、心不全の予防のために、特に心がけましょう。


5.温泉の成分は皮膚から吸収され、その効果は浴後3時間程度持続しますので、お湯からあがる時は、洗い流さないでください。


6.浴場などに掲げられている「利用上の注意事項」をよく守り、温泉を正しく楽しく利用しましょう。

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2014年

7月

23日

翠山の湯 7月のお休み

◆立ち寄り湯「翠山の湯」7月のお休みは29日(火)です◆

 

梅雨も明けていよいよ夏本番ですね。

汗ダラダラを温泉でさっぱりしませんか?

 

実は夏こそ温泉!なのです。

暑さに疲れた体と心をほぐし、あせもなどに悩んでるかたからも「気持ちよかった〜!!」のお声をたくさんいただく、夏の温泉。

 

「ひとカラ(一人カラオケ)」ならぬ「ひと温泉」ものんびりできて良いものですし、里帰りの皆さんや夏のお客様と一緒にみんなで入る温泉も楽しいですよ♪

 

山水園の湯は、加熱も加水もしない、生まれたての天然温泉100%。どんどん湧き出して、浴槽のふちからザーザー流れていく、本物のかけ流しです。

たくさんのご利用、お待ちしております。

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2013年

11月

01日

温泉へのこだわり

湯田温泉の泉質は「日本屈指の良さである」との折り紙付きです。

大地の底から絶え間なく湧き出す、アルカリ性単純硫黄温泉。

山水園のこだわりは、この良質の温泉を「最良の状態」でお客様に使用していただくことにあります。つまり、

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2013年

8月

01日

ドクターゆきこの温泉豆講話3

3:温泉の作用

具体的に、温泉はどんなふうに体に作用するのでしょう?

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2013年

7月

01日

ドクターゆきこの温泉豆講話2

2.温泉の保健利用

 

温泉を健康維持に利用する方法として、経験上昔から「湯治は一巡り7日間」と言い伝えられています。これはどういうことでしょうか。

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2013年

6月

01日

ドクターゆきこの温泉豆講話

ドクターゆきこをご紹介します。

 

日本人にはなじみの深い「温泉」。

しかし、一般の方にとっては、まだまだ知らないことも多いものです。

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