「国登録有形文化財」になりました

このたび、

当「山水園本館」が、国の登録有形文化財になりました。

 

 山水園本館は、大正時代に別荘として建てられました。創業者、中野仁義が、この建物を増築し、昭和11年に旅館として開業しました。戦後、昭和20年代前半に京都の数寄屋師、笛吹(うすい)嘉一郎の手による茶室、いばらき門、萬寿亭が建築され、又、彼の意匠による客室が増築されました。

 昭和38年の増築は、山口国体の際の昭和天皇・皇后両陛下のお仮泊に合わせて行なったものです。この時の客室も笛吹嘉一郎の意匠によるものです。数寄屋師らしい洒落た遊び心を随所に見ることができます。


 

 先代は茶の湯を通じて表千家13代家元である即中斎千宗左や、萩焼陶工の12代坂倉新兵衛・13代坂田泥華らと深い交流がありました。又お客様として政治家・軍人・財界人にも多くご利用いただいた歴史があります。

 その交流を物語るように、茶室「山月亭」の扁額は即中斎の筆、玄関の「山水園」の額は寺内寿一陸軍元帥、「行在閣」は小澤太郎山口県知事の筆となっています。

 

 このように山水園本館は、皇室から政治家、軍人、文化人、職人など多様な関わりの歴史を刻みながら建つ建築物なのです。

 

 このたび登録有形文化財に登録されたことを受け、今後より一層この建物を守る努力を重ねてゆく所存です。そしてまた、多くの方々に使って頂いて、その良さを後世に伝えることができればと改めて思っております。

 

桐の間
桐の間
蓬莱の間
蓬莱の間